暑くなってくると、こんなことはありませんか?
「のどが渇くから、つい冷たいジュースやスポーツドリンク…」
「お昼は、そうめんや冷やし中華でササッとすませる」
「暑くて外に出たくないし、なんだか体がだるい…」
どれも、夏なら当たり前の光景です。
私もやります。
でもこの3つ、実は 夏に血糖値が乱れやすくなるサイン でもあるんです。
こんにちは。現役ナース×糖尿病療養指導士のみくるんです。
看護師歴33年、糖尿病療養指導士として1000人以上の方の療養生活を支えてきました。
「血糖値が気になるのは、食べすぎる冬でしょ?」とよく言われます。
数字の上では、たしかにそのとおりです。
だからこそ、夏は油断が生まれます。
この記事は「夏は危ない」とこわがらせる記事ではありません。
夏だけに起きる3つの落とし穴と、そこを1つずつ埋めていく方法の話です。
この記事の結論
- HbA1cは平均すると冬〜春に高く、夏〜秋に低め(季節差は約0.3%)。
ただし、すべての人に当てはまるわけではありません - 夏の落とし穴は
①かくれ脱水
②甘い飲み物
③冷たい麺だけの食事 の3つ - ただし「甘い飲み物は全部ダメ」ではありません。
大量に汗をかいたときは、水分と塩分を補うことも大切です - 対策は
「ふだんは水とお茶」
「麺にひとのせ」
「涼しい時間に10分」 の3つだけ
まずはセルフチェック|あなたはいくつ当てはまりますか
- のどが渇くと、ジュース・スポーツドリンク・甘い炭酸をよく飲む
- お昼は冷たい麺類(そうめん・冷やし中華)だけで済ませがち
- 暑くて、ほとんど運動できていない
- アイスや冷たい甘いものが、夏は増える
- ご家族に糖尿病・予備軍の方がいる
1つでも当てはまった方は、この先を読んでみてください。
3つ以上なら、今日から変えられるところが必ずあります。
HbA1cは平均すると夏に低め。でも油断は禁物
国内の研究では、糖尿病患者さんのHbA1cは、冬から春に高く、夏から秋に低くなる傾向が報告されています。
HbA1cは、過去1〜2か月の血糖状態を表す目安です。
国内34,590人のデータでは、最も高い月と低い月で約0.3%の差がありました。
冬の運動量の低下や食べすぎ、体重増加などが理由として考えられています。
ただし、これは多くの人を調べた平均的な傾向です。
一方、夏は脱水や甘い飲み物、麺だけの食事によって、その日の血糖値や食後血糖が上がることがあります。
季節全体の平均を表すHbA1cと、その日の血糖値は、分けて考えることが大切です。
「夏はHbA1cが低めだから安心」とは限りません。
外来で毎年見ている、夏特有の3つの落とし穴をお話しします。
夏の落とし穴①|かくれ脱水が血糖値を押し上げる
夏は、自分でも気づかないうちに体の水分が足りなくなる 「かくれ脱水」 が起こりやすい季節です。
体の水分が減ると、血液の中の糖がギュッと濃くなります。
同じ量の糖でも、血糖値は高めに出る というわけです。
やっかいなのは、ここから悪循環になること。
- 血糖値が高くなる
- 体は余分な糖を尿で出そうとする
- 尿と一緒に、水分もどんどん出ていく
- ますます脱水が進む → さらに血糖値が上がる
年齢を重ねると、のどの渇きを感じにくくなることがあります。
「渇いてから飲む」より、こまめに飲むほうが安心です。
目安は、食事以外で 1日1.2〜1.5Lくらい。
コップ1杯を、朝・10時・昼・15時・夕方・寝る前に分けるイメージです。
※心臓や腎臓の病気で水分制限がある方は、主治医の指示が優先です。
夏の落とし穴②|「水分補給=甘い飲み物」になっていませんか
暑いと、冷たいジュースや甘い炭酸が本当においしく感じますよね。
ただ、量を知っておくと選び方が変わります。
- 甘い炭酸飲料 500ml … 糖質およそ50g(角砂糖にすると12〜13個分)
- スポーツドリンク 500ml … 糖質およそ25〜30g(角砂糖6〜8個分)
のどが渇く → 甘い飲み物をたくさん飲む → 血糖値が上がる → またのどが渇く。
この輪がぐるぐる回ると、「清涼飲料水ケトーシス(通称:ペットボトル症候群)」 という状態になることがあります。
急に血糖値が高くなって、強いだるさ・眠気・吐き気が出るもので、やせている方や若い方にも起こります。
でも「甘い飲み物は全部ダメ」ではありません
ここは、看護師としてどうしてもお伝えしたいところです。
血糖値を気にするあまり水分そのものを控えてしまうと、今度は熱中症の危険が出てきます。
命に関わるのは、こちらのほうです。
大事なのは「全部ダメ」ではなく、場面で使い分けること。
| 場面 | 選ぶもの |
|---|---|
| ふだんの水分補給 | 水・麦茶・無糖のお茶 |
| 汗をたくさんかいた日 屋外の作業・長時間の外出 | まず涼しい場所で休み、水分と塩分を補います。経口補水液は、脱水症状がある場合に商品の表示を確認して使いましょう |
| めまい・吐き気など熱中症が疑われるとき | 涼しい場所で体を冷やし、水分・塩分を補います。吐き気で飲めない、症状が改善しない場合は医療機関へ |
経口補水液は、普段の水分補給として常飲するものではありません。脱水症状があるときに商品の表示を確認して使い、普段は水やお茶を基本にしましょう。
※糖尿病で治療中の方、腎臓・心臓の病気や血圧の薬がある方は、飲み方について一度主治医に確認しておくと安心です。
夏の落とし穴③|冷たい麺だけのお昼ごはん
暑い日のお昼。
そうめん、冷やし中華、ざるそば。
つるっと食べられて、作るのもラクですよね。
ただ、麺だけの食事は 糖質にぐっと偏ります。
そうめん2束(乾めん100g)の糖質は、およそ70g。
ごはん茶碗1杯(150g)が約55gですから、ごはん1.3杯分 にあたります。
のど越しがいいぶん、噛む回数も減って、糖が一気に吸収される。
食後に急に眠くなる、どっと疲れが出る。
その正体が、血糖値の急な上がり下がり(血糖値スパイク)ということもあります。
「夏バテでごはんが食べられなくて」と話される方が、糖質だけはしっかり摂れている。
外来で、本当によく見る形です。
➡ 食後の眠気が気になる方は、
こちらもどうぞ:ランチ後の強烈な眠気の正体と対策|食後血糖値スパイクを防ぐ”ゆる習慣”
糖尿病・予備軍の方は、熱中症にも注意を
糖尿病や予備軍の方、そしてご高齢の方は、熱中症のリスクも高くなる ことが知られています。
- 糖尿病の合併症による神経や血管への影響で、汗の働きがうまく調節できない場合がある
- 年齢とともに、のどの渇きを感じる力そのものが弱くなる
ご本人に自覚が出にくいのが、いちばんこわいところです。
「お茶飲んだ?」の一言を、家族どうしで声かけできるといいですね。
夏バテで食欲がないときも、水分と、お味噌汁などの塩分はしっかり とりましょう。
今日からできる「夏の整えかた」3つ
ここからは、私が患者さんにも自分にもすすめている、ゆるっと夏習慣です。
① ふだんの1杯は、水かお茶に
- 渇く前に、コップ1杯ずつをこまめに(1日1.2〜1.5Lが目安)
- 冷蔵庫の麦茶を「手前」に置く。人は手前から取ります
- 大量に汗をかく活動では、水分と塩分の補い方を体調に合わせて選ぶ
② 麺には「ひとのせ」する
- たんぱく質をのせる:ゆで卵・ささみ・冷しゃぶ・納豆・お豆腐
- 野菜と海藻をのせる:わかめ・オクラ・きゅうり・トマト
- 順番を変える:野菜 → たんぱく質 → 麺
冷やし中華に卵とハムときゅうりが乗っているのは、実は理にかなっているんです。
③ 涼しい時間に、10分だけ動く
- 朝か夕方の涼しい時間に、10〜15分のお散歩
- 暑い日は、室内で「家事をしながら、かかと上げ」
- 食後30分〜1時間に動くと、血糖値の山がなだらかになります
ジムもお金もいりません。健康は、いちばん利回りのいい資産だと思っています。
まとめ|夏の血糖値、3つのポイント
| やること | ポイント |
|---|---|
| ① こまめな水分補給 | 普段は水・麦茶。大量に汗をかいたときは水分と塩分も |
| ② 麺類に「ひとのせ」 | たんぱく質+野菜。食べる順番は野菜から |
| ③ 涼しい時間に10分動く | 朝夕の散歩、室内のながら運動でOK |
全部やらなくて大丈夫です。
今日ひとつだけ選ぶなら、麦茶をコップ1杯、いま飲むこと から。
最後に
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
HbA1cは平均すると夏に低めになる傾向があります。それでも、かくれ脱水・甘い飲み物・冷たい麺には注意が必要です。
それでも、こわがる必要はありません。
水分・食事・ちょこっと運動。この3つを、ゆる〜く続けるだけです。
ちなみに私は、自分の血糖値が実際にどう動いているのかを1年間、記録してみたことがあります。
数字で見ると、思い込みがだいぶ変わりました。
➡ 【リブレ体験談】現役看護師が1年つけてわかったこと。血糖値が気になる50代への正直レビュー
この夏を、一緒にゆる〜く乗り切りましょう。
参考
- Furuta M, et al. Evaluation of seasonal changes in hemoglobin A1c in diabetic patients. Rinsho Byori. 2012;60(7):599-604. PMID: 22973717(34,590人、季節差0.30%)
- 環境省「熱中症環境保健マニュアル」2025年7月版/消費者庁「経口補水液について」
この記事は、看護師・糖尿病療養指導士としての経験にもとづく一般的な健康情報です。診断や治療にかわるものではありません。健診の数値が気になるときや、だるさが続くときは医療機関にご相談ください。吐き気で水分が飲めない、症状が改善しない場合は早めに受診を。会話ができない、呼びかけに反応しない場合は、ためらわず救急車を呼んでください。


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