「血糖値」のところに、小さな印がついていた。
健診結果の紙を開いて、すぐにかくしました。
誰か来る前に、ポケットの中へ。
そんなこと、ありませんか。
私は、外来でこの話を何度も聞いてきました。
そして、看護師さん自身から聞くことも、少なくありません。
これは、血糖値の下げ方をお伝えする記事ではありません。
看護師33年。
糖尿病療養指導士として1000人以上の方と関わり、たくさんの方から聞いてきた「言えない気持ち」の話です。
数字よりも、「看護師なのに」がこわい
指摘された数字そのものより、こわいものがあります。
「看護師さんなのに」
言われたわけではなくても、頭の中で自分が言ってしまう。
患者さんに生活の話をしている自分が、いちばん不規則な生活をしている。
その後ろめたさがあるから、余計に誰にも言えなくなる。
同僚にも言えない。
家族にも、心配をかけたくないから言わない。
そうやって、健診結果の紙だけがくしゃくしゃになって増えていきます。
あなたの自己管理が甘いわけではありません
少しだけ、生活の条件について考えてみてください。
夜勤があると、生活リズムはどうしても不規則になりやすくなります。
食べる時間が毎日ちがう。
昼休憩が15時になる日がある。
トイレに行けないから、水分を控えてしまう。
夜勤明けは、何も作れずにコンビニで済ませる。
そんな生活の中で、「毎日、規則正しく食事をしましょう」と言われても、なかなか難しいですよね。
夜勤などで生活リズムが不規則な場合、血糖値の管理が難しくなることもあります。
だから、
「自分は自己管理ができない」
と、すぐに自分を責めなくてもいい。
生活の条件そのものが、難しさにつながっていることもあるからです。
1000人以上の患者さんが、同じことを言いました
外来でいちばん多く聞いた言葉があります。
「わかってるんです、頭では」
これを、本当にたくさんの方から聞いてきました。
知識がないから困っているのではありません。
知っている。
でもその生活のほうが追いつかない。
そして、それを人に言うのが恥ずかしい。
看護師さんも、まったく同じでした。
むしろ知識がある分、かえって言い出しにくいこともあるのだと思います。
「看護師なのに、こんなこともできていない」
そんなふうに、自分に厳しくなってしまうから。
私自身も、1年間ずっと血糖値を測ってみて、自分の生活がそのまま数字に出るのを見てきました。
知っていることと、できることは、別なんですよね。
「言えない気持ち」を、軽く見なくなりました
糖尿病療養指導士の資格を取ったばかりのころの私は、正しい説明をすることに力をいれていました。
食事の話をして、運動の話をして、それでおおまかに伝わるものだと思っていました。
でも、変わる方はそう多くありませんでした。
何年もかけて、やっと分かったことがあります。
多くの方がつまずいていたのは、知識ではなく、その前の段階でした。
言えない。
知られたくない。
今さら聞けない。
恥ずかしい。
不安だけど、どうしたらいいのかわからない。
ここを抜けないと、そもそも一歩目を踏み出すことができないんですよね。
だから今は、数字の話をする前に、その人がどんな気持ちでいるのかを聞くようにしています。
誰にも言わなくて大丈夫です
職場の同僚に相談しなくても大丈夫です。
家族に、すぐ打ち明けなくても構いません。
気になるなら、勤務先ではない医療機関を選ぶ方法もあります。
「看護師です」と最初から伝えなくてもいい。
まずは、自分が安心して話せる場所で相談する。
そんな選択肢があってもいいと思います。
もちろん、健診で受診を勧められている場合は、その案内を放置せず、必要に応じて医療機関で相談してくださいね。
今日は、これだけで十分
今日やることは、ひとつだけ。
バッグの奥にしまった健診結果を、もう一度出す。
そして、指摘のあった数字を、ひとつだけ見る。
それだけです。
今日すぐに食事を変えなくてもいい。
運動を始めなくてもいい。
誰かに相談するのも、明日でいい。
まずは、
「私は、何を指摘されたんだろう?」
と確認するところから。
その先に何をするかは、数字を確認してから考えればいいんです。
見なかったことにしている間は、ずっと気になり続けます。
一度見てしまえば、少し軽くなります。
私も、そうでした。
看護師33年。
患者さんの数字はずっと見てきたけれど、これからは、自分の数字からも目をそらさずにいたいと思っています。
もしあなたも、
「看護師なのに、血糖値を指摘されたなんて言えない」
そう思っているなら。
どうか、自分を責めるところから始めないでください。
知識があることと、自分の生活を完璧に整えられることは、同じではありません。
まずは健診結果を、もう一度開く。
そこからで十分です。
血糖値が気になった私が、1年間はかり続けた記録はこちらです。
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※この記事は個人の体験談です。診断や治療の代わりにはなりません。気になる方は医療機関を受診してください。


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